大判例

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東京高等裁判所 昭和62年(ネ)1465号 判決

控訴人兼被控訴人(以下「第一審原告」という。)

小林泰之

控訴人兼被控訴人(以下「第一審原告」という。)

小林未津代

右両名訴訟代理人弁護士

清水光康

杉山繁二郎

白井孝一

被控訴人兼控訴人(以下「第一審被告」という。)

静岡鉄道株式会社

右代表者代表取締役

川井祐一

右訴訟代理人弁護士

奥野兼宏

河村正史

小倉博

猿山達郎

藤巻克平

土屋文男

主文

一  第一審原告らの控訴に基づき、原判決主文第一項を左のとおり変更する。

第一審被告は、第一審原告らそれぞれに対し、金三四一万二二〇五円及びこれに対する昭和五七年七月五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  第一審原告らのその余の控訴及び第一審被告の控訴を棄却する。

三  訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを五分し、その四を第一審原告らの連帯負担とし、その余を第一審被告の負担とする。

四  この判決の第一項は、仮に執行することができる。

事実

一  当事者の求めた裁判

1  (一) 第一審原告らの控訴の趣旨

(1)  原判決を左のとおり変更する。

(2)  第一審被告は第一審原告らそれぞれに対し、金二〇三五万五〇〇〇円及びこれに対する昭和五七年七月五日から支払済みまで年五分の金員を支払え。

(3)  訴訟費用は第一、二審とも第一審被告の負担とする。

(4)  仮執行の宜言

(二) 第一審被告の答弁

本件控訴を棄却する。

2  (一) 第一審被告の控訴の趣旨

(1)  原判決中第一審被告の敗訴部分を取り消す。

(2)  第一審原告らの請求を棄却する。

(3)  訴訟費用は第一、二審とも第一審原告らの負担とする。

(二) 第一審原告らの答弁

本件控訴を棄却する。

二  当事者双方の主張及び証拠の関係は、次のとおり付加するほか、原判決事実摘示及び当審記録中の書証目録記載のとおりであるから、これを引用する。

(第一審被告の主張)

1  本件踏切道には設置上の瑕疵はない。

(一) 第四種踏切及び本件踏切道における事故例について

(1) 第一審被告の営業路線上の踏切における昭和四六年から昭和五六年までの間に生じた死傷事故の件数は、次のとおりである。

第一種踏切    七件

第三種踏切    三件

第四種踏切    八件

ちなみに、同時期の静岡県下における各鉄道の踏切事故の件数は、次のとおりである。

① 国有鉄道(現JR東海)

第一種踏切   四八件

第三種踏切   七八件

第四種踏切   五一件

② 伊豆急行

第一種踏切    一件

第三種踏切    一件

第四種踏切    〇件

③ 伊豆箱根鉄道

第一種踏切    一件

第三種踏切    六件

第四種踏切   一四件

④ 岳南鉄道

第一種踏切    一件

第三種踏切    一件

第四種踏切    八件

⑤大井川鉄道

第一種踏切    〇件

第三種踏切    〇件

第四種踏切    五件

⑥ 遠州鉄道

第一種踏切    六件

第三種踏切   二一件

第四種踏切   一七件

(2) 右のとおり、警報機・遮断機のある踏切においても相当数の事故が発生しており、第四種踏切の事故が際立って多いということはなく(踏切一か所当たりの事故数は、第四種踏切よりも第三種踏切の方が概して多くなっている。)、右各事故が踏切道における保安設備の欠如を専らの原因として発生したという事実もない。

(3) 本件踏切道で発生した四件の事故は、いずれも通行者が電車接近の確認を怠って電車の直前を無理に横断しようとして発生した事故であり、通行者が電車の直前を無理に横断しようとして生ずる電車の急停止の措置も同様であるが、このような事例は本件踏切道に限って起こるものではなく、警報機・遮断機のある踏切においても起こるのである。また、急停止の措置によって事故を防いだということは、本件踏切道に対する電車運転士からの見通し距離が十分であって、本件踏切道における軌道施設に何らの瑕疵がないことを意味するのである。

(4) したがって、このような事故等の事例から、本件踏切道に警報機・遮断機を設置すべきであるとすることは、踏切における交通の安全が通行者の協力なくしては達成し得ない点を無視して、すべての踏切を廃止せよと要求するに等しい暴論である。

(二) 本件踏切道における子供の通行について

(1) 本件踏切道の付近にある津島神社は、昭和三三年に静岡市の補助金の認定を受け、境内のベンチブランコ、スベリ台等の設置がされたことがあったが、昭和四九年(遅くとも本件事故当時まで)には静岡市指定の児童遊び場ではなくなっており(静岡市の補助がある中吉田地区の児童遊び場は、静岡市中吉田三八六番地先等の県有地であり、本件踏切道の北約六〇〇メートルの国道一号線の北側にある。)、しかも、昭和五二年ころ静清土地区画整理事業によって本件踏切道付近に側道が設けられた際に境内が縮小され、本件事故当時には遊戯物もなく、既に児童遊び場としての機能はなく、その外観も呈していなかった。

(2) 静岡市中央公民館中吉田分館において町内会や子供会の催し物が行われることはあるが、それらは常時行われているものではないし、それによって通行者が著しく増大するものではなく、右公民館分館前には広場などは存在していない(自動車が二、三台停車できる場所があるのみである。)。

(3) 本件踏切道の付近に幼稚園や保育園はなく、本件踏切道が園児らの通園路となっていた事実はない。左記の幼稚園等のうち、星美幼稚園のほかはスクールバスの運行はしていないが、いずれも家族等の送迎を義務付け、あるいは当然のこととして家族等が付き添い、それができない場合は園で代わって送迎する等の手段を講じており、園児の単独での通園は認めていない。

① 星美幼稚園は、清水市中之郷五三〇番地に所在し、本件踏切道の北東、直線距離約六六〇メートルのJR東海東海道線の北側にあり、本件踏切道は同幼稚園園児の通園路ではない。

② 草薙西保育園という保育園ないし幼稚園は実在しない。有度西保育所であれば、清水市中之郷一〇四番地の四に所在し、本件踏切道の東、直線距離約四二〇メートルの第一審被告営業線桜井戸第二踏切(第一種踏切)のすぐ南側にあり、本件踏切道は同保育所園児の通園路ではない。

③ 東豊田保育園は、静岡市国吉田一五一八番地の二に所在し、本件踏切道の南南西、直線距離約六五〇メートルにあり、本件踏切道は同保育園園児の通園路ではない。

(4) このように、本件踏切道における子供の通行量は決して多くはなかったのであり、この点は本件踏切道に警報機・遮断機を設置すべきであるとの根拠とはなり得ない。

(三) 本件踏切道のおける交通量について

(1) 本件踏切道における電車通行量は、一日約三〇〇本であり、少ないとはいえないが、この通行量を踏切の瑕疵の有無(その踏切に必要な保安設備の程度)との関係で論ずるときには、当該踏切の通行者の量との相対的な関係を考察する必要がある。

(2) 本件踏切道における通行者の通行量は三一二にすぎず、踏切道の保安設備の整備に関する省令(昭和三六年一二月二五日運輸省令第六四号)による基準(一日の電車運行回数が三〇〇以上で、見通し距離が五〇メートル以上ある踏切に警報機・遮断機をつける必要があるのは、通行者が二二〇〇以上の場合である。)からすれば、遥かに少ない。したがって、通行者の通行量を基準として考えた場合、第一審被告営業路線の通行量は、相対的に少ないということになる。

(四) 本件踏切道での見通し距離について

(1) 本件踏切道の南入口付近から西方を見通す際に、地上九〇センチメートルの高さの視点からでは、立つ位置により木杭のために見通しが遮られることがあるが、問題となっているのは、踏切を横断しようとする通行者が横断を開始すべきか中止すべきかの判断をするに当たって電車が見えるかどうかということであるから、危険を伴うことなく電車を見易い地点から見た場合に電車がどれくらいの距離で見えるかを検討すべきである。そうすると、原判決添付図面ア点における右視点で西方から接近してくる電車の前面全体を認識し得る最遠距離でさえ一八五メートルであり(電車の一部分が見える距離は二三〇メートル余であり、ア点より南寄りの地点(本件事故の直前に亡央直が立っていたのも、その辺であり、当時そこまではガードレールがなかった。)からの西方の見通し距離は更に長くなる。)、本件踏切道での見通しは良好であるというべきである(歩行者がア点において一八五メートル西方の下り電車を見てから本件踏切道を渡り始めても、時速六五キロメートルの電車が五七メートルに接近するまでに、同図面イ点に渡りつくことができる。)。

(2) なお、踏切道における見通し距離として、電車運転席からの見通し距離を問題とし、これと電車の制動距離との長短を比較して当該踏切道の安全性を論ずることは、電車が多くの乗客を乗せて専用軌道上を一定の速度・時間で運行するという公共的性格に鑑み、踏切道においても、これを通行する人車に常に優先すべきものであって、徐行義務を負わない(車両等は、踏切の直前で停止し、かつ、安全であることを確認した後でなければ進行してはならない(道交法三三条一項)。児童若しくは幼児を保護する責任のある者は、交通の頻繁な道路又は踏切若しくはその付近の道路において、児童若しくは幼児に遊戯をさせ又は自ら若しくはこれに代わる監督者が付き添わないで幼児を歩行させてはならない(同法一四条三項)。)ことに照らし、妥当ではない。もっとも、本件踏切道に関しては、下り電車の運転士は二〇〇メートル以上手前から本件踏切道を見通すことができる(乙第四四号証の二参照)し、一〇〇メートル手前からであれば、本件踏切道の南入口付近に佇立している幼児を視認することができる(乙第四四号証の四参照)。仮に、本件踏切道の手前一四〇メートル(カーブを曲がり切った辺り)ないし一七〇メートルで本件踏切道上の歩行者を発見して急制動措置をとったとしても、電車を本件踏切道手前で停止させることができるし、その間に歩行者は安全な場所に移動し終ることができるので、この点からも本件踏切道での見通しに問題はない。

(五) 本件踏切道に警報機・遮断機の設備が無かったことについては、法令の基準上からは何らの問題がないのであり、また、踏切の設置の瑕疵の有無の判断に当たっては単に法令上の基準に適合しているか否かのみでなく周辺の諸事情を斟酌すべきであるとしても、前記の諸事情のほか、山口運転士が本件踏切道付近で警笛を吹鳴した事実及び本件踏切道の西側の中吉田第二踏切の警報機が電車の接近に伴って鳴る音が本件踏切道でも十分に聞こえた事実をも斟酌するときは(本件事故の際、亡央直とともに本件踏切道の南入口付近に立ち止まっていた他の二人の幼児は、軌道外で本件電車の通過を待っていたのであり、幼児三人が三人とも本件電車の接近に気付かずに本件踏切道に進入したというわけではなかった。)、本件踏切道には設置上の瑕疵はないというべきである。

2  抗弁1についての追加主張

(一) 踏切事故防止総合対策計画における踏切の統廃合の計画は、周辺の土地区画整理を伴うものではないから、廃止計画の踏切が第一種化されて存続するという計画変更が起こり得るが、土地区画整理事業計画における踏切の統廃合の計画は、周辺の土地区画整理を伴うものであって、計画全体とのバランスから、安易に廃止計画の踏切を存続させることはできない。本件踏切道は、両計画上廃止と決定されていたものである(なお、静清土地区画整理事業は、広大な地域の街頭の新設・拡幅・統廃合、これに伴う踏切道の新設・拡幅・統廃合、換地、区画整理を行う大規模な事業であり、その計画内容は文章によって表現されるのではなく、図面(乙第二八号証・現況図1)によって示され(この図面が計画書そのものであり、図面によって計画が決定される。)、建設省の認可を得て事業計画決定がなされるのである。第一審原告の後記主張2(一)に例示の各踏切道は、静清土地区画整理事業の区域外のものであって、本件踏切道とは事情を異にする。)。したがって、土地区画整理事業計画の対象となっていない踏切について防止計画上の計画変更がなされた事例があるからといって、本件踏切道についても鉄道事業者が独自の判断で廃止の計画を変更し得るとするのは誤りである。

(二) 本件踏切道は、本件事故後である昭和六〇年三月に仮閉鎖となったが、これについては地元の住民の大多数の了解を得ていたのであり、第一審被告が本件踏切道の廃止計画の遅延を予測し得たということはない。

3  抗弁2(過失相殺)についての追加主張

(一) 鉄道は、専用軌道内を高速で通行する公共機関であり、かつ、専用軌道内のみを走行するものであるから、これを踏切道において交差する道路の通行者には、道路の横断歩道の横断に比して強度の注意義務が課せられるのである。もちろん、踏切道における通行者の注意義務を補完するために、鉄道事業者が安全施設を設置する必要があることは否定することができないが、鉄道が高架化され、汽車・電車以外の通行が物理的に遮断されない限り、踏切道の通行者に対し高度の注意義務が課せられることに変わりはない。単に、踏切道に警報機及び遮断機を設置することにより、事故(故意による踏切への侵入等を除く。)が完全に防止できることになるわけではない。したがって、踏切道における事故については、過失相殺の適用がないどころか、公平の観点からしても、通行者側の過失を十分考慮されるべきである。

(二) 過失相殺割合は、本件踏切道における線路施設の設置上の瑕疵の態様等の諸般の事情を勘案して定められるべきであり、仮に本件踏切道に瑕疵があったとしても、それは著しく小さいものであったから、相対的に第一審原告らの過失割合は増大するといわねばならない。(第一審原告らの主張)

1  本件踏切道には設置上の瑕疵がある。

(一)(1) 第一審被告の前記主張1(一)のうち、(1)の各踏切における事故の件数は認めるが、その余は争う。

(2) 第一種踏切と第四種踏切における事故の多寡の比較には、踏切の数及び交通量をも比べる必要がある。昭和五〇年三月三一日現在における第一審被告の営業路線上の第一種踏切数は三六で、第四種踏切数は一三であるから、踏切一か所当たりの事故数は第四種踏切が第一種踏切に比較して三倍以上となっている。そして、第四種踏切の交通量は第一種踏切のそれよりも遥かに少ないと考えられるので、前者における事故の確率はそれだけ高く、その危険性は非常に大きい。静岡県下の各鉄道の踏切についても、第四種踏切一か所当たりの事故数は第一種踏切のそれの2.5倍ないし四〇倍(統計的に意味のない伊豆急行と大井川鉄道を除く。)となっている。

(二)(1) 第一審被告の前記主張1(二)の事実中、(1)のうち津島神社が昭和三三年に静岡市の補助金の認定を受け境内にベンチブランコ・スベリ台等が設置されたこと及び静清土地区画整理事業によって本件踏切付近の側道が拡幅(新設ではない。)された際に境内が縮少され現在では遊戯施設がないことは認めるが、同神社の境内は静岡市中吉田児童遊び場であったし、現実にも地域の子供の遊び場として機能していた。

(2) 同(2)については、静岡市中央公民館中吉田分館は、常時何らかの会合や催し物が行われたり集会の場所となっており、これにより通行者は著しく増大する。同館は、幅16.5メートル、奥行14.4メートルの敷地を有し、建物は道路から4.7メートル引っ込んで建てられ、しかも一階部分は敷地の前の部分と連続した空間となっており、車の通行が極めて少ない前の道路と連続して奥行14.4メートル全体が地面として使えるようになっている。

(3) 同(3)のうち、①の星美幼稚園の所在地番及び本件踏切道の北東でJR東海道線の北側に位置すること、②の有度西保育所の所在地番及び本件踏切道の東約四二〇メートルの直線距離にあること、③の東豊田保育園の所在地番及び本件踏切道の南南西にあることは、いずれも認めるが、その余は争う。当時、本件踏切道の北側すぐ近くの山本祥子ら一〇名の幼児が東豊田保育園に通園していた。

(三) 行政指導監督上の基準からすれば、当該踏切に保安設備の設置が義務付けられていない場合でも、単に通行者の通行量だけでなく、後記(五)に記載のような諸要因を総合して、当該踏切に瑕疵があると判断され得るのは当然である。

(四)(1) 第一審被告の前記主張1(四)(1)は、電車を見易い位置から見通した場合の見通し距離を問題としているが、本件踏切道の南入口付近(本件事故当時の路面は、原審における検証当時よりも約一〇センチメートル低くなっていた。)は、木杭や柵が林立(本件事故当時には右検証当時よりも本数が多かったし、これらも第一審被告が設置した工作物であり、これによって通行者の見通しが悪化すれば、それ自体工作物の瑕疵を認定する一要因となるべきものである。)していて、視点の低い幼児には下り電車の接近が殆ど見えないのであり、限られた視界でしか判断材料のない子供にとっては、見易い位置に体を動かすことを要求するのは無理である。また、本件電車は、鈍い銀色をしており、四囲の景色と識別しにくい色調であり、進行時の音も静かなので、その一部分が見えるだけの距離において電車の接近を早期に判断することは困難である。

(2) そのうえ、下り電車の運転士からの本件踏切道の見通しが極めて悪く、二〇〇メートル手前で停車中の電車からでは本件踏切道自体を全く見通すことができず(一七〇ないし一八〇メートル手前で、かなりの程度まで見通すことができるということもありえない。)、一〇〇メートル手前でも本件踏切道南入口付近に佇立している幼児を肉眼で見ることができないし、三〇メートル手前でも木製柵の陰に隠れてしまう幼児を見ることが殆んどできないという実情である。この見通しは、時速六五キロメートルで走行中の電車運転士にとっては、目視の対象が増加し視野が狭まり、振動も加わるので、一層困難となるのである。

(五) 第一審被告の前記1(五)の主張のうち、山口運転士が本件踏切道付近で警笛を吹鳴したことは否認する。また、警笛の吹鳴と本件踏切道の瑕疵の存否とは関係がない。中吉田第二踏切の警報機音が本件踏切道で聴取し得るかどうかは、その時における騒音の程度や天候等によって左右されるものであり、本件踏切道の設置上の瑕疵の有無の基準とはならない。

軌道施設に設置上の瑕疵があるかどうかは、当該踏切における見通しの良否、交通量、電車回数のほか、過去の事故数、踏切の構造的特質、踏切の地域的特質、保安設備設置による事故回数の蓋然性、経費問題との関係等の諸状況に基づき、当該踏切道が踏切道設置の目的である「電車運行の確保と道路交通の安全との調整」を満たすに足りる状況にあるかどうかという観点から考察されなければならない。

2  抗弁1に対する追加主張

第一審原告らは、静清土地区画整理事業計画において、本件踏切道の廃止が決定されたこと自体を争うものである。すなわち、同計画における踏切道の統廃合は、同計画書と一体をなす図面(乙第二八号証・現況図Ⅰ)により図示され(赤線により示される道路が線路を横断していない部分は、従来踏切があったとすれば、その踏切は廃止される。)、一般に縦覧されることによってのみ知り得るにすぎないが、右図面において、「赤線により示される道路が線路を横断していない部分」は、単に踏切道部分が第一審被告所有の鉄道用地に仮換地されたことを意味するにすぎず、かつ、その用地の用途(踏切道か単なる線路敷地か)までを規定するものではないのである。

例えば、音羽町第二踏切(甲第四五号証の一ないし三)、春日町第一踏切(甲第四六号証の一、二)、護国神社第一踏切(甲第四七号証の一ないし三)、古庄第一踏切(甲第四八号証の一ないし三)、国吉田踏切(甲第四九号証の一ないし三)、入江踏切(甲第五〇号証の一ないし三)の各踏切は、いずれも静鉄用地(第一審被告私有地)であり、これに接続する公道を寸断しているにもかかわらず、各踏切道はいずれも「踏切道」として存続しており、廃止の対象にはなっていないのである。

したがって、現況図Ⅰの図示は踏切道の廃止を表現しているものとはいえず、他に何らの廃止決定もなされていないのであるから、静清土地区画整理事業においては本件踏切道の廃止決定は存在しないのである(なお、第一審原告ら地域住民にとっては、新踏切道が設置されて本件踏切道付近の軌道両側の側道が設置された後においても、生活道路しての本件踏切道の存続の必要性は切実なものがあり、その仮閉鎖にも反対の意思表示をしている。)。

3  請求原因4(損害)についての追加主張

(一) 亡央道の逸失利益の算定に際しては、最新の賃金センサス、少なくとも昭和五九年度のそれを基礎とするべきであるが、昭和六〇年度の賃金センサスでは、男子労働者の平均給与額(年額)は四二二万八一〇〇円であり、これによれば亡央直の逸失利益は一八四七万四六八二円となる。

(二) 本件事故は、過去において多くの踏切事故が発生していたにもかかわらず、踏切道における通行者の安全の確保を全く無視して何ら保安設備を設置しなかった第一審被告の経営姿勢が招いたものであって、第一審被告の責任は極めて重く(しかも、第一審被告は、本件事故についての反省もなく、更に本件踏切道において死亡事故を発生させた。)、第一審原告らの悲しみは極めて深いものがあるから、第一審原告らについての慰謝料額は、それぞれ七五〇万円を下回ることはないと考える。

4  抗弁2(過失相殺)に対する追加主張

(一) 自動車事故の場合には、歩行者道路と自動車用道路を完全に分離しない限り(このようなことは現在の社会では不可能である)、歩行者・自動車間における事故は不可避的に発生し、そのうちの一部については歩行者について過失相殺による損害賠償額の減額を認めなければ公平を失するという事例が必ず存在する。

これに対し、踏切事故の場合には、警報機及び遮断機を設置することによって、歩行者の故意による踏切への侵入等を除けば、事故は完全に防止できるものである。

以上のようなことからすれば、自動車事故と同様な発想で踏切事故について過失相殺を適用することは誤っているといわなければならない。

(二) 鉄道のような高速度交通機関で災害発生の危険を伴う事業を経営する者は、その災害を未然に防止する義務が課せられる。しかも、踏切の設備を完全にすることは、経営者がこれを如何に完全にしても、高速度を犠牲にすることがなく、却ってますます高速度の能率を高まらしめて、しかも一般公衆に対する危害をよりよく防止できるから、経営者は現在の科学の許す範囲において踏切の設備を完全にすべき義務を負っているといわなければならない。特に、事故発生の蓋然性の高い踏切については、経営者はできる限り速やかに十分な保安設備を設置する高度な義務が課されるのであって、それをしないで当該踏切を危険なままに放置することは、経営者の事故発生についての容認的姿勢が認められるといわなければならず、このような経営者の姿勢から発生した事故については、公平の観点から認められている過失相殺の適用はないといわなければならない。仮にその適用を認めたとしても、その適用は、公平の観点からすれば極めて慎重になされなければならない。

(三) 本件踏切は、事故が多発していた踏切であり(事故に至らないまでも、通行人が電車の接近に気付かずに本件踏切道を通行しようとしたため、電車が本件踏切道付近で急停車することも時折あった。)、第一審被告はその危険性を十分知りながら保安設備を設けることなく放置していたものである。

本件事故が発生した後、第一審原告らから、警報機・遮断機などの保安設備を設置して本件踏切道の通行の安全を確保すべきであったのにこれを怠っていたという理由で訴訟を提起され、また本件踏切道の地域住民から安全対策を切望する旨の陳情書等が出されていたにもかかわらず、これを全く無視して本件踏切を危険なままに放置し、更に新たな死亡事故を発生させたことは、第一審被告の事故発生についての容認的姿勢を端的に物語るものであるといわなければならない。このような第一審被告のために過失相殺を適用するということは、許されるべきではない。

(四) 社会においては、一定の判断能力を有している子供(亡央道も十分な事理分別力を有していた。)が、親に付き添われないで、近所の道路や踏切を横断することは、当然認められているというべきであり、親たちに必ず付き添えと強制したり、付き添わなかったことが監督義務違反になるなどということは社会的には無理ではなかろうか(道交法一四条の三項の規定は、交通ルール上の一般規定にすぎず、これを法的義務として強制することは社会の実態と遊離することになろう。)。むしろ鉄道会社こそが、このような子供達の横断があることを前提にして、踏切道の保安設備を設けることが要請されている(しかも、鉄道経営者は、極めて低廉な費用でその措置ができる。)といわなければならない。

(五) 抗弁1について前述したとおり、静清土地区画整理事業計画においては、本件踏切道の廃止は決定されておらず、かつ、付近住民にとって本件踏切道の必要性は高いのであるが、これらのことも、本件事故について過失相殺を適用するに当たっての諸般の事情の一つとして考慮されるべきである。

理由

一請求原因1及び2の事実、すなわち、第一審被告は地方鉄道事業を営む株式会社であり、静岡市中心部と清水市中心部とをほぼ東西に結ぶ営業キロ数11.0キロメートルの複線の線路(静岡清水線)施設を占有・所有しているが、右線路は静岡市中吉田一〇五番地において未舗装の市道(静岡市中吉田二七号線)と交差して中吉田第三踏切道(本件踏切道)となっていること、昭和五七年七月五日午後四時四八分ころ、本件踏切道を南から北へ横断しようとした亡小林央直(亡央直)が、山口運転士の運転する第一審被告の新静岡発新清水行急行電車(本件電車)に撥ね飛ばされる事故(この事故を、以下「本件事故」という。)が発生し、そのため亡央直が同日午後五時四五分ころ脳挫創等により死亡したこと及び亡央直が当時三才一一か月の男児であって、第一審原告らがその父母であることは、いずれも当事者間に争いがない。

二本件事故の責任原因について

第一審原告らは、土地の工作物である本件踏切道における線路施設に警報機等の保安設備を欠くという設置上の瑕疵があったと主張し、第一審被告はこれを争うところ、当裁判所も、原審と同様に、本件踏切道は少なくとも踏切警報機のような保安設備を設置するのでなければ踏切道としての本来の機能を全うすることができない状況にあったというほかはなく、本件踏切道における第一審被告所有の線路施設には、あるべき保安設備を欠いた設置上の瑕疵があったといわざるを得ないのであり、第一審被告の抗弁1はこれを履すに足りないと認定判断するが、その理由は、左のとおり付加し訂正するほかは、原判決理由三、四項の説示のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決一八枚目表一〇行目の「第四号証、」の次に「第一四号証の一ないし七、」と、同一〇、一一行目の「同第二二号証の一、」の次に「同第三二号証(書込み部分の成立は弁論の全趣旨によって認めることができる。)」と、同裏初行の「本人の供述により」の次に「同人が」と、同五、六行目の「乙第二号証、」の次に「同第三三号証、」と、同末行の「乙第三号証の一、」の次に「二、同第四、第五号証、同第七号証、」と、原判決一九枚目表初行の「一ないし三、」の次に「弁論の全趣旨により成立の認められる乙第三四、第三五号証の各一、二、同第三六号証の一ないし三(同三のうち官署作成部分の成立は争いがない。)、同三七号証の一、二、同三九号証の一ないし三、弁論の全趣旨により第一審原告ら主張のとおりの写真であると認められる甲第五二号証の一ないし一三、」と、それぞれ付加し、同一、二行目の括弧書き部分を削除する。

2  原判決二〇枚目表七行目の「設置された。」の次に「また、右各入口付近には、高さ九〇センチメートル前後、直径十数センチメートルの木杭各三本が三角形状(原判決添付図面参照。但し、南入口には、①点付近に一本が立っていた。)に立てられ、かつ、右各入口の東西の延長線上(軌道敷の両端)に数本の枕木が立てられ、これに上下二本の横木が付置されていた。」と、同九行目の「死者数」の次に「(七名)」と、同一〇行目の「各事故」の次に「(三名の死傷)」と、それぞれ付加する。

3  原判決二一枚目表九行目の「地域である。」を「地域であり、本件踏切道は主として地域住民の日常の通行に利用されてきた。」と、同裏初行の「津島神社の境内は、」から同二行目の「指定され、」までを津島神社の境内には、かって中吉田町内会によってベンチブランコやスベリ台等が設置され、静岡市が同市の児童遊び場等補助金交付要綱に基づいて補助金を交付したことがあり、その後に右遊具等は撤去されたが、なお子供らの遊び場となるだけの空地があり、そのフェンスには本件事故当時も『静岡市中吉田児童遊び場』なる静岡市名義の看板が掲げられていて、現に子供らが右境内を遊び場として利用していたものであり、」と、同五行目の「広場」を「空地」と、それぞれ訂正し、同八行目の「「星美幼稚園」及び「東豊田保育園」の次にそれぞれ「(北東約六六〇メートル)」及び「(南約六五〇メートル)」と付加し、同行の「草薙西保育園」を「有度西保育所(北東約四二〇メートル)」と訂正し、同一〇行目に続けて「亡央道も、東豊田保育園の園児であり、祖父に送り迎えをしてもらって通園していた。」と付加する。

4  原判決二三枚目表一〇行目の次に「そして、午前九時から午後七時二〇分までの全急行電車が、本件踏切道の約三〇〇メートル東の地点で離合するようにダイヤが組まれているが、下り急行電車の停車駅における乗降の所要時間が延びたり、行事等のために運動場前駅に臨時停車するような場合は、本件踏切道上ないしその西方で右の離合がなされることも生じていた。」と付加する。

5  原判決二四枚目表初行括弧内の「1.2メートルの高さの点」の次に「。これは、自動車の運転者の視点が想定されたものである。」と、同五行目に続けて「これに対し、本件踏切道の北入口から西側への見通しは、前記のカーブのためのほか、線路方向に伸びている樹木の枝等の影響のため、遥かに短い。」と、それぞれ付加する。

6  原判決二四枚目表八行目の「制限される」の次に「(中間にある電柱等が重なって見通せない部分が生ずる。)」と、同末行の「見通すことができる」に続けて「が、それでもなお見通しに制約を受け、南北各入口付近の人影を明瞭に視認することには困難を伴う。そして、本件踏切道の手前約一〇〇メートルの地点に至れば、本件踏切道を完全に見通すことができるが、南入口の杭や柵の後ろに立っている幼児の姿までは、必ずしも確実に視認し得るとは限らず、本件踏切道の手前三〇メートルの地点においては、これらをも確実に把握することができる(第一審被告は、乙第四一号証の一、二の各一、二、同号証の三ないし五、同第四二号証の一ないし八、同第四四号証の一ないし三(これらの写真の被写体については争いがない。)を援用して、本件踏切道の二〇〇メートル西手前から本件踏切道を見通すことができ、一〇〇メートル手前からであれば本件踏切道の南入口付近に佇立している幼児を視認することができる旨主張するが、右各写真によっても前記認定以上に見通しが良好であると断ずることは困難である。)」と、それぞれ付加する。

7  原判決二五枚目裏九、一〇行目の「前掲甲第三号証」から同一〇、一一行目の「信用することができず」までを「見通しの程度・良否等についてまで触れているわけではないし、カーブの影響等により電車の有無の判断に影響があること(多数の電柱等の間から電車が見え隠れして現われるのを的確に見抜くことは、鉄道の部外者にとっては必ずしも容易ではない。)等を考慮に入れつつ原審における検証の結果と対比するときは、直ちに採用することはできず」と訂正する。

8  原判決二六枚目表五行目の「発生していること」の次に「(なお、静岡県下の各鉄道の踏切道において、第四種踏切のみならず第一種及び第三種踏切においても第一審被告主張の件数の事故が発生していることは、当事者間に争いがなく、また、第一審被告の営業路線においては同県下の他の鉄道に比して踏切道の第一種化率が高くなっていたことも認められるところであるが、それでもなお幾つかの第四種踏切が残存していたのであり、同県下の踏切事故件数を全体としてみると、やはり第四種踏切における事故数が多かったことは、否定することができない。)」と、同裏四行目の「鉄道交通量が多いこと、」の次に「本件踏切上やその西方で離合する電車があること、本件踏切道の北入口からの西方への見通し距離が短いこと、」と、同七行目の「良好とはいえないこと」の次に「、右視点以上の高さからでも西方からの電車の接近をいち早く視認することに或程度の難点があること、西方から接近する電車の運転士が本件踏切道の南北入口付近の人影を的確に視認し得る地点が一〇〇メートル以遠であるとは断定できないこと等」と、原判決二七枚目表二、三行目の「下回っていること」の次に「、電車運転士が警笛を吹鳴する場合があり、また下り電車の接近により中吉田第二踏切の警報機が鳴る音が本件踏切道でも聞こえる筈であること等」と、それぞれ付加する。

9  原判決二七枚目表一〇行目の「成立に争いのない甲第三五号証の四」を「前掲乙第五号証、成立に争いのない甲第一六号証、同第三五号証の四」と、同裏三、四行目の「乙第五、第一四号証」を「乙第一四号証」と、それぞれ訂正し、原判決二八枚目表初行の「第四一号証、」の次に「乙第三八号証の一、二、」と、同三行目の「認められ、」の次に「成立に争いのない甲第三八号証並びに原本の存在及び成立に争いのない同第三六号証も右認定を覆すに足りず、他に」と、それぞれ付加する。

10  原判決三四枚目裏三行目の「認めることはできない。」に続けて「もちろん、土地区画整理事業計画において踏切道の廃止が決定されている場合に、鉄道事業者が単独でこれを変更することはできない建前であろうが、本件踏切道の土地部分は、市道の一部であったものを第一審被告の私有地として仮換地の指定があったものであるから、右土地部分を踏切道として残すことは市道の位置計画そのものとは直接関係がないし(前記の護国神社第一踏切道のように、第一審被告が護国神社の私有地に踏切道を設置していた実例もある。)、少なくとも市道の整備が完了して本換地が確定するまでの暫定期間内において、なお本件踏切道を残置し、これに保安設備を設置することが不可能であるとはいい難い。」と付加し、原判決三五枚目裏二行目の「義務を負っていた」から同三行目の「できない。」までを「ことは可能であったのであり、右計画の存在を理由に第一審被告の責任を否定することはできず、第一審被告が右事故対策を講ずべき義務を負っていたことに変わりはない。」と訂正する。

三損害額(慰謝料及び弁護士費用については、後に判断する。)

1  亡央直の逸失利益

亡央直が本件事故当時三歳の男児であったことは、当事者間に争いがなく、原審における第一審原告らの各本人尋問の結果によれば、同人は極めて健康な子供であったと認められ、本件事故に遭遇しなければ、一八歳から六七歳までの四九年間就労することが可能であったと認めることができる。そして、亡央直の死亡による逸失利益は、昭和六〇年度の全男子労働者の平均年収額から、同人の生活費として収入の五〇パーセントを控除して算定するのが相当であると解されるところ、昭和六〇年度の企業規模計・学歴計男子労働者の全年令給与額が年四二三万八七〇〇円であることは公知の事実であるから、ライプニッツ方式(年五分の中間利息控除)により同人の死亡による逸失利益を算定すると、次のとおり一八五二万二〇五九円となる。

423万8700円×(1−0.5)×(19.1191−10.3796)=1852万2059円

第一審原告らが亡央直の父母であることは当事者間に争いがないから、第一審原告らはそれぞれその法定相続分(各二分の一宛)に応じ右金額の二分の一に当たる九二六万一〇二九円(円未満切捨て。以下同じ。)の損害賠償請求権を相続取得したものである。

2  葬儀費用

弁論の全趣旨によれば、第一審原告らは、亡央直の葬儀を行い、その費用を各二分一宛負担したことが認められるところ、亡央直の年齢等に徴して、本件事故と相当因果関係のある損害として賠償を求め得る葬儀費用の額は、各三〇万円が相当である。

四過失相殺(抗弁2)

当裁判所は、前認定の本件踏切道の安全設備における瑕疵の態様、本件事故の態様その他諸般の事情を斟酌して、第一審原告らの損害額の算定につき、過失相殺として八割を減ずるのが相当であると判断するが、その理由は、原判決理由六項と同一(但し、「八割五分」とあるのを「八割」と訂正する。)であるから、これを引用する。本件事故については、過失相殺の適用を否定すべきである旨の第一審原告らの主張は、採用の限りではない。

そうすると、前項認定の第一審原告らそれぞれについての損害額(合計九五六万一〇二九円)から右の八割を減じた額は、それぞれ一九一万二二〇五円となる。

五慰謝料及び弁護士費用

1  本件事故の態様及び結果、亡央直の年齢、第一審原告らの家族構成その他本件に顕われた諸般の事情(過失相殺の割合を含む。)を総合考慮すると、亡央直の死亡により父母である第一審原告両名が被った精神的苦痛に対する慰謝料額は、それぞれ一〇〇万円と認める。

2  本件事案の内容、審理の経過、認容額等に照らし、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用の額は、これに対する遅延損害金の起算日の点をも考慮するときは、第一審原告らにつきそれぞれ五〇万円とするのが相当である。

六以上のとおりで、第一審原告らの本訴請求は、第一審原告らそれぞれに対し三四一万二二〇五円及びこれに対する本件事故の日である昭和五七年七月五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容すべきであるが、その余は理由がないから棄却を免れず、原判決中右に反する部分は失当である。そうすると、第一審原告らの控訴は一部理由があるから、原判決主文第一項を右の限度で変更することとし、第一審原告らのその余の控訴及び第一審被告の本件控訴を棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法九六条、八九条、九二条、九三条、仮執行の宣言につき同法一九六条に従い、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官森綱郎 裁判官友納治夫 裁判官小林克已)

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